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カオリ。
小学生の頃、事故で死んでしまった俺の幼なじみ。
葬式には俺とマユ、ダイスケ以外のクラスメートは誰も来なかった。
カオリは昔から病弱で、学校へ通うことが少なかったからだ。
故に、俺たち以外に友達はいなかった。
ある時、体調が良くなったカオリを見て俺は散歩に誘った。
今思えば、なんで誘ったんだろう。
カオリが元気になったから?
…好きだったからだ。
カオリが大好きだったから俺は、カオリの体調が良くなったら散歩の終点である公園で告白しようと思って。
一瞬の出来事だった。
大通りの、俺の少し前を歩いていたカオリは、突然消えた。
そして俺の目には、暴走し、壁に激突したトラックと飛び散る鮮血が映った。
俺が覚えてるのはここまで。
「まさか…また、会えるなんて」
自然と涙は引いていた。
『あの頃』より少し成長したのか背も俺の首あたりまで伸び、大人びた雰囲気のカオリ。
…最高っす。
「久しぶり、ユーくん」
カオリの目は涙で輝いていて、幻想的だった。
「それにしても、何で百合の花を置くまで振り向いちゃいけなかったんだ?」
「百合の花が無いと、私の魂は人の形にならないの。ごめんね…」
「いや、謝ることないって」
俺たちは、たわいもない話をした。
マユやダイスケの話、事故から今まで、カオリは何をしていたのか聞いたりもした。
だけど、こんな幸せな時間、長く続くハズがない。
ついに、その時はやってきた。
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