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君の名を叫び
届かぬ手を伸ばす
重力に逆らうことなく
水面を叩く
君の身体
動かすことさえ
もう叶わない
君の身体はボロボロで
だけど僕等を見て
幸せそうに微笑んだ
海底に沈みつつある
君の手を取り
引き寄せた
君との最後の約束を
叶える為に
海に地上に
全てに響く
愛の唄
声の出ぬ君の変わりに
奏でる‘此処にいた証’
陽が登り輝く光が
水面を揺らす
僕の腕で君は
静かに泡となる
最後に皆を見渡し
小さく微笑んだ
“アリガトウ”
波に消えた君
柔らかな笑みだけを残し
されど僕は歌い続ける
愛の唄という鎮魂歌を
“僕が消えるまで
歌っていて欲しい”
約束を果たすため
君が愛したこの歌を
君に捧げる
最後の旋律
「おやすみ…」
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