其の壱拾七

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 花は刀を構え、人形の背後上に視線を走らせた。 「……傀儡(くぐつ)ではなく、からくり人形か……」  そう呟いた途端、その人形が花と間合いを詰め、腕を交差させ両腰から刀を一本ずつ引き抜き向かって飛んできた。  その速さはとてもからくりで動いている人形とは思えない程で、肩から腕を大きく回転させ、交互に刀を振り回してくる。  刀を顔の前で受けると、人形は口を大きく開き火炎を吐いた。 「――――っ、くそ……!」  花は顔だけを背けその攻撃をよけるが、受け止めている刀の強さは変らず、僅かに髪の毛が焼け、焦げ臭い臭いが鼻を掠める。  休む間もなく人形の背後から、鎖分銅が二本飛んできた。  刀を外し鎖分銅を弾くと、花は人形の懐に潜り込み肩から胴体に勢いよくぶつかり押し飛ばし、間合いを取った。
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