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先輩の後ろ姿をすっかり見送ってしまった後。
追いかけてでも名前を聞こうか……とも、思ったんだけど、自分が遅刻未遂者だって事を思い出して断念する事にした。
と、とにかく教室に入らなきゃ!
1年3組の教室に向かう。
ーーーガラガラ……
扉を開けた瞬間、教室中の視線が一斉に集まって体が硬直した。
うぅ……。
やっぱり。注目を浴びてしまった。
教室内はしーんと静まり返ってる。
えぇっと。
席は……どこに座ったらいいんだろ?
とりあえず空席に座ればいいよね。
早く座ってこの視線から逃れたい。
だけど。
教室内を見渡すけど……空席が見当たらない。
どうしよう……。
その時!
「こっち、空いてるよ?
こっちだよ!」
廊下側。
後ろの方から声が聞こえた。
とにかく……声の方に向かおう。
そこにはゆるいウェーブヘアに、校則違反ギリギリセーフぐらいの明るめブラウン。
目元は少し垂れ下がっていてくっきり二重。制服はちょっぴり襟をくつろげてゆるタイ。
同性の私から見ても、めちゃくちゃキュートな、美少女が手招きして私を迎えてくれた。
「私、真崎 菜津(マサキ ナツ)だよ。
今日からよろしくね!
あーっと。呼び方はマサキでもいいし、ナツでも。どっちでもいいよ」
そう言うとニッコリ微笑んだ。
「私は桃谷 羽琉。えっと……ハルって呼んで?私もナツって呼ぶね。
これから……よろしく」
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