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確かに……。
ドラマチックな響きではあるけどもっ!
あの時の私は本当に!本当に!困ってて。
笑い事じゃなかったんだってばっ!
……って。
一生懸命伝えてはみたものの、彼女の耳はもはや聞く耳持たず。
興奮状態。
「で。その助けてくれた先輩!
上級生の名前は?」
「……ごめんなさい。
それが、わからないの」
私が自嘲気味に答えると、ナツは「ふむふむ、なるほどね」とあっさり頷いた。
「あーね。やっぱり聞いてないか。
じゃ、特徴とかは?」
私が抜けていて、重要な事を聞き逃しているだろうという事は、もはや想定内らしい。
「あ、それが、私。あの時、すごーく緊張してて。実はあんまり覚えてないんだ。
ほら、名前も聞き逃してしまったくらいだし。
ただ……背が高くて、優しい人だった、な。……あとは曖昧。思い出せないや」
「ふーん。そっかぁ。
ま、私もハルの『運命の人』探すの手伝うからさ!会ったらまずお礼言わなきゃね」
運命の出会い?
運命の人?
やだ、何それ??
っていうか、楽しんでませんか?
ナツさん???
だけど。
またあの人に出会えたなら。
ちゃんとお礼を言いたい、な。
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