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「とにかくっ!
私もその『王子様』を探すの手伝うから。
ハルもその先輩について思い出したりしたら、すぐに言ってよね?」
体育館へ向かう廊下の途中。
私達は列を成してゆっくりと進んでいる。
そんな中、
少し興奮気味の上擦ったナツの声。
「あ……うん。ありがと。
だけど、さ。
その『王子様』っていうのヤメよう?」
「何、言ってんのっ!
ハルをピンチから救ってくれた人でしょ。王子様じゃなかったら何て呼べばいいの?救世主とか?」
……イヤ、おかしいから。
それ。
けど。
ま、いっか。
私を助けてくれた人には間違いないんだし。
うろ覚えだけど……。
綺麗な顔立ち、してたような……気がする。
思い出すのは、
優しくて。
少し低めの、落ち着いた声。
また逢うことが出来れば。
いいんだけど、な。
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