会長は王子様? side ハル

2/5
前へ
/955ページ
次へ
   入学式の会場である体育館に着くと、すでに在校生である先輩方や来賓の方々が、新入生である私達の入場を拍手で迎えてくれていた。  何だかくすぐったい様な、照れ臭い様な……そんな気持ちで粛々と中央の花道を進む。  1組から順に入場し、すべての新入生が席に着くと緊張した空気のまま、入学式が始まった。    けれど。私の横はすでに十分すぎる程に打ち解けた出席番号32番のナツだったから、とってもリラックスした気分で式に臨む事が出来た。  お決まりの校長先生の挨拶。  お話の長い来賓挨拶。  お固いPTA会長の挨拶、も。  ナツと小声で「眠いね」「退屈だね」なんて言いながらやり過ごした。  そして。  新入生代表挨拶を経た、後。 「在校生代表挨拶。  生徒会長 真柴 翠(マシバ アキ)」  会場がざわめく。    マシバ……アキ、サン?  会場のざわめきの理由は解らないけど、有名な人なのかな?  『アキ』サン、だから……。  生徒会長って女の子なんだよね? 「有名な……人?」 「あれ?嘘。ハル……もしかして知らないの?  会長の真柴先輩。超有名な人だけど……」    あぁ。  やっぱり。有名な人だったんだ。 「そうなんだ?  私……そうゆうの、よくわかんなくて……」  どんな人、なのかな? 「……ハイ」  少し低くて神経質そうな声が聞こえて、その人は優雅な足取りで壇上に登った。 「はじめまして。  新入生の皆さん……」    
/955ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5302人が本棚に入れています
本棚に追加