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入学式の会場である体育館に着くと、すでに在校生である先輩方や来賓の方々が、新入生である私達の入場を拍手で迎えてくれていた。
何だかくすぐったい様な、照れ臭い様な……そんな気持ちで粛々と中央の花道を進む。
1組から順に入場し、すべての新入生が席に着くと緊張した空気のまま、入学式が始まった。
けれど。私の横はすでに十分すぎる程に打ち解けた出席番号32番のナツだったから、とってもリラックスした気分で式に臨む事が出来た。
お決まりの校長先生の挨拶。
お話の長い来賓挨拶。
お固いPTA会長の挨拶、も。
ナツと小声で「眠いね」「退屈だね」なんて言いながらやり過ごした。
そして。
新入生代表挨拶を経た、後。
「在校生代表挨拶。
生徒会長 真柴 翠(マシバ アキ)」
会場がざわめく。
マシバ……アキ、サン?
会場のざわめきの理由は解らないけど、有名な人なのかな?
『アキ』サン、だから……。
生徒会長って女の子なんだよね?
「有名な……人?」
「あれ?嘘。ハル……もしかして知らないの?
会長の真柴先輩。超有名な人だけど……」
あぁ。
やっぱり。有名な人だったんだ。
「そうなんだ?
私……そうゆうの、よくわかんなくて……」
どんな人、なのかな?
「……ハイ」
少し低くて神経質そうな声が聞こえて、その人は優雅な足取りで壇上に登った。
「はじめまして。
新入生の皆さん……」
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