はじめてのおつきあい side ハル

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 周りはそれぞれワイワイと盛り上がってる。  ナツは…イズミ先輩と何か真剣に話してる。仕事(マネ)の話でもしてるのかな?  私達の横を通りがかった2人組が足を止めた。 「あ、アキ楽しんでる?  ……って……聞くまでもないか……」  声の聞こえた方に顔を向けると、同じ顔が2つこちらを見ている。    あっ!!!  西陵高校の有名人。リクト先輩とカイト先輩だ。    リクト先輩とカイト先輩は「ちょっと座って行くか」と言ってテーブルの向かいの空席に座った。 「あ。はじめまして……  桃谷 羽琉です。宜しくお願いします」 「こちらこそ。  川越 陸斗(カワゴエ リクト)だよ」   「海斗(カイト)だよ」  この2人は、双子とか兄弟とか間違われる程良く似ているけど、実際は『従兄同士』なんだって。  父親同士が双子の兄弟で、実際2人の兄弟のように育てられたから似てるんだって説明してくれた。  顔だけでなくしぐさまで本当に似てて「スゴいですねー」心から感心してしまった。    リクト先輩とカイト先輩を、シャッフルして「どっちだ」ってされても、絶対……私には分からない。 「アキ先輩はリクト先輩とカイト先輩の見分けってつくんですか?」   「あぁ。もちろん。  じゃないと、指示出せないだろ?」  ちょっと自慢げに、目を細めて言ったアキ先輩に、お2人を見分ける方法を聞いてみたけれど、 別にそんな事知らなくてもいいよ、と一蹴されてしまった。 「他の男なんか見なくていい。  ……オレだけを見てて?」  アキ先輩の甘くて蜜のような言葉が、  私の耳元に小さく蕩けた。  
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