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「ハルちゃん。はじめまして。
僕は男バスのマネージャーの、和泉 裕也(イズミ ヒロヤ)。よろしくね」
イズミ先輩は何度か遠くから見かけた事がある。
コートの人ではなく、コートサイドで黒子のように動き回るイズミ先輩。穏やかで爽やかな印象。
「あ、オレは……高梨 和哉(タカナシ カズヤ)。
……よろしく」
タカナシ先輩は口数が少なくて物静かな印象。目立たない、っていうか……あまり目立ちたくないのかも。そんな気がした。
「あ…のっ。はじめまして。桃谷 羽琉です。こちらこそ、よろしくお願いします
えっと……あのぅ…イズミ先輩。私が言うのもおかしいかもしれませんが、どうかナツの事よろしくお願いします」
イズミ先輩にペコリと頭を下げると、人好きのする笑顔で「もちろん」と答えて、
「いや。こちらとしても助かってるよ。
実は……今まで1人で結構大変だったんだ」
イズミ先輩は苦笑いしながら、快くナツの事を引き受けてくれた。
アキ先輩はそんな私の様子を黙って静かに優しく、そして温かく見守ってくれていた。
アキ先輩の存在が私に勇気をくれる。
心強くて力強い。
そんな揺るぎない安心感。
その後しばらく会話をして、イズミ先輩もタカナシ先輩もスマートに「それじゃ」と言って席を立った。
タカナシ先輩は最後まで口数が少なくて謎な人だったけど、物静かな感じは決して不快ではなく、むしろ不思議なくらい自然だと感じた。
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