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「これで3年の部員全員に、ハルの顔見せをする事が出来たな。シュウも満足だろうよ」
アキ先輩が言った言葉に私は耳を疑った。
「顔見せって、ナツの…だよね?」
「もちろん……表向きはな……」
ニヤリと意味深に笑って、アキ先輩は「あー。そろそろ時間だな」と立ち上がった。
アキ先輩は、お兄ちゃんの所へ行って何か耳を打ちしていた。
お兄ちゃんは自分の時計を確認した後、
「そろそろ、お開きにするなー。あ、明日からの部活も頑張ろうな。以上……解散!」
時計は7時過ぎ。
ナツの歓迎会は賑やかなまま、お開きとなった。
私は部外者でおまけの存在だったのにもかかわらず、皆に良くして貰えて嬉しかった。
ナツとは、忙しそうであまり話せなかったけれど、ナツが部員の皆さんと打ち解けてるのを見れたのは大収穫だったな。
「ハル。オレはイズミとナッチャンを送ってくるから。ちゃんとアキに送って貰えな?」
「あ……、
ん。分かった。」
チラリとアキ先輩に目を向けると、当然だろっていうような表情。
支払いを済ませたアキ先輩が、お兄ちゃんに領収書を渡しながら、
「ハルの事は任されたよ。ちゃんと家まで送るから。
じゃ、ハル。帰ろっか?」
「ハイ。先輩っ!」
差し出されたアキ先輩の手を私はギュッと握りしめた。
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