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「キミ。
新入生なの?」
突然の!!!
背後から聞こえた声に、私はビクリと体が震えて硬直した。
聞こえてきた声は……落ちついていて、少し低い声。
その人は「もしかして……」と私の顔を覗きこむ。
「もしかしなくても、困ってるんだね?」
そう言って、その人はニコリと笑った。
あ……。
優しそうな人……。
けど。ちゃんと返事をしたいのに、緊張のせいか声が出ない。
「大丈夫。ちゃんと案内するよ。
だから安心して?」
その人は私の涙目の顔を見て、どうやら察してくれたらしい。
……せ、先輩かな?
案内してくれるって言ってたもん。
きっと先輩だよ、ね?
と。
その人は、私の手をぎゅっと握ると歩き出した。
大袈裟だけど、私はもう何時間も一人ぼっちでいた感覚で、不安で不安でしかたなかった。
そして怖かった、の。
知らない人に手を引かれて歩いてるという状況にもかかわらず、どこかホッとしている自分がいた……。
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