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「えっと。
まず、自分のクラスは確認したのかな?」
まだですっ!!
そう言いたいのに、言わなきゃいけないのに。
緊張で言葉にならない。
先輩は足を止めて、私の顔を覗き込む。
声が出なくて、涙が溢れそうなのを必死にこらえてる……そんな私の表情を見て察してくれたのか、先輩が私の頭をよしよしと撫でてくれた。
「あー。まだなんだね。
ん、大丈夫。今から確認しよう?」
子供の様な扱いに、何だか顔が熱い……。
先輩は足を進めながら、こうも言った。
「あと。嬉しい情報を1つ。あのね……今は職員会議中なんだよ。
だから実は、ね。集合時間には、まだもう少しだけ余裕あるんだ。だから大丈夫、間に合うよ」
先輩は少しだけ申し訳なさそうに。
「だから安心してね」と微笑った。
「そ……そうなんですかぁ!
良かったぁー」
不安と緊張が解けたのか、ようやく声が出てくれた。
少しどもってしまったけれど。
「毎年キミみたいな子がいるからね。
じゃ、ちょっと急ぐよ」
先輩はクスッと笑うと、繋いだ手に力をこめ再び足を進めた。
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