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「あの上村さん?」
後ろから呼び止める声がして、振り向くとなんと慎也だった。
なんと、彼の方から見つけてくれたのだ。
そして不意のことなのに、祐子はどうしてか落ち着いていた。
当然驚きはしたのだけど、不思議な心地よさがあった。
慎也の姿を見つけて安心したのだ。
これが安らぎなのだろうかと、初めて思ったのはこの時だった。
「あの、もう部活は終わったんですか?」
祐子はそう切り出した。
クラスメートなのについ敬語になってしまう。
これは良くないのに。
「ああ、片づけるのは一年だから」
なるほど、と思った。
「私、委員会で遅くなってしまったの。そしたら野球部はまだいて。びっくりした」
「ああ、そうだったのか。これから、帰るの?」
「うん」
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