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だんだん、祐子の家が近くなってくる。
「慎也君も家こっちなの?」
気になっていたことを聞いた。
あわよくば家の場所まで知りたかった。
「うん、この辺かな」
曖昧にそう言う。
でも意外に家が近いことに驚いた。
そして嬉しかった。
でも、それも今思えば慎也の優しさでそう言ったのだろう。
もしかしたら、遠回りしたのかもしれない。
十五年間生きてきて、外ですれ違ったこともない。
でもいいのだ。
それでも嬉しいのだから。
結局、彼は家の前まで送ってくれた。
この日は嬉しくて、ずっと舞い上がってた。
弟を訳もなく突き飛ばしたりふらふらしたり、家族はさぞ困惑したろう。
以後の細かいいきさつは全て省くことにする。
とにかく重要なのはここからなのだ。
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