回想2~浮遊~

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だんだん、祐子の家が近くなってくる。 「慎也君も家こっちなの?」 気になっていたことを聞いた。 あわよくば家の場所まで知りたかった。 「うん、この辺かな」 曖昧にそう言う。 でも意外に家が近いことに驚いた。 そして嬉しかった。 でも、それも今思えば慎也の優しさでそう言ったのだろう。 もしかしたら、遠回りしたのかもしれない。 十五年間生きてきて、外ですれ違ったこともない。 でもいいのだ。 それでも嬉しいのだから。 結局、彼は家の前まで送ってくれた。 この日は嬉しくて、ずっと舞い上がってた。 弟を訳もなく突き飛ばしたりふらふらしたり、家族はさぞ困惑したろう。 以後の細かいいきさつは全て省くことにする。 とにかく重要なのはここからなのだ。
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