8人が本棚に入れています
本棚に追加
思えば幸せだった。
自分に湧いてくる不思議と優しくなれる気持ち、初めて幸せと感じたこと、全ては、慎也と出逢って知ることができたのだ。
慎也が教えてくれた。
他の誰かじゃ、こんな気持ちにはなれなかったに違いない。
ずっとこのままでいたかった。
毎日、切にそう願った。
だが、思いと裏腹に、それは続かなかった。
この日、二人は別れてしまうのだ。
四度目のデートは昼に、駅前に待ち合わせだった。
慎也は遅刻した。
大した遅れではない。十分か二十分くらいだ。
普段は時間通りなのに。
だが、何故か悪びれる様子はなかった。
責めるつもりはなかったが、その態度に少しむかついた。
最初のコメントを投稿しよう!