回想3~別れ~

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思えば幸せだった。 自分に湧いてくる不思議と優しくなれる気持ち、初めて幸せと感じたこと、全ては、慎也と出逢って知ることができたのだ。 慎也が教えてくれた。 他の誰かじゃ、こんな気持ちにはなれなかったに違いない。 ずっとこのままでいたかった。 毎日、切にそう願った。 だが、思いと裏腹に、それは続かなかった。 この日、二人は別れてしまうのだ。 四度目のデートは昼に、駅前に待ち合わせだった。 慎也は遅刻した。 大した遅れではない。十分か二十分くらいだ。 普段は時間通りなのに。 だが、何故か悪びれる様子はなかった。 責めるつもりはなかったが、その態度に少しむかついた。
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