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「遅刻だよ?」
そう言ってみた。
「ごめん、ごめん」
少し笑ってる。何がおかしいのだろうか。
「じゃあ、行こうか」
そう言うので、あっさり許した。
祐子はあまり口うるさい女にはなりたくなかった。
お決まりのデートコースを一回りした後、慎也は祐子に渡すものがあると言った。
そう言うと、鞄から綺麗に包装された何かを取り出した。
「何? これ」
「祐子の、誕生日プレゼント」
祐子は先週、誕生日だった。
そのことを慎也が忘れていたので、怒ったことがあった。
でもそれは、誕生日を忘れたことを怒ったのだ。
慎也はそれを、プレゼントがないせいだと勘違いしたらしい。
少し不快になった。
でも、態度には出さない。
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