回想3~別れ~

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「これ、どうしたの」 「さっき、買ってきたんだ」 その言葉は聞いてはならなかった。 「さっき……」 慎也は午前に買い物をした。だから待ち合わせは昼だったのだ。 遅刻してもどこかうわついていたのもそのせいだ。 瞬時に怒りがこみ上げる。 こんなことで私が喜ぶと思ったのか! 「ねえ、慎也。私のこと好き?」 さっき不安になったことを尋ねた。 「うん」  慎也らしい癖で控えめでそう答える。 だがこの時は、それが激しく不安にさせる。 「はっきり言って。本当に好き?」 「うん」 好きだよ、と言葉には絶対してくれないのだ。 はにかんだ曖昧な笑顔は、ただ照れているようにも見えなくもないが、はっきりしないその態度は、祐子の心をひどく沈鬱にさせた。
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