回想3~別れ~

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「バカ!」 祐子は走って逃げ出した。全速力だ。 本当はもっと言いたいことはあったのだが、涙があふれてきた。 惨めな顔をさらしたくはなかった。 視界はかすむが、構わずただ走った。 悲しかった。 祐子は泣き虫だった。 ずっと自分でも弱い人間だと思ってた。 最近は変わったと思ってたが全部、錯覚だったのだ。 薄々は思ってた。 付き合ってるはずなのに、あまり相手にされないのも、会いに行くのはいつも自分からだったのも、好きなのは自分だけだったからなのだ。 目の前が真っ暗になる感じとは正にこういうことかもしれない。 腕も力は抜け、体は熱くなっているのに内側はとても冷たく感じた。 血液が凍っているような感じだった。 「祐子ー」 声がした。 追いかけてくれたんだ。 慎也は叫ぶ時まで控えめな感じだった。 おかしくなった。
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