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祐子が逃げ込んだのは、例の広大な空き地だった。
「待てよ」
腕を引っ張られて、祐子は振り向いた。
その顔を見て慎也は驚いたようだった。
「どうして、好きだって言ってくれないの!」
悲鳴のようにわめいた。
「好きだよ」
「もう、遅いの」
既に傷ついた心は癒えなかった。
「プレゼントだって今日選んだんでしょ。信じられない。そんな適当に選べるのが」
「ごめんよ」
二人とも大声だった。
初めて本気で向かい合った気がした。
それが、別れになるのだから皮肉なものだ。
「謝ればいいって問題じゃないよ」
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