置き忘れた過去1

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この辺りは海が近いせいもあって、潮風が強い。 長い間いるだけで、髪の毛がパサパサになってしまいそうだ。 そして、今日は寒い。 急がなくてはいけない。 上村祐子はそう思った。 何せこの大地は広すぎる。 ふと、振り返り周りを見渡した。 見える限り、誰もいない。 (やっぱいるはずなんてないな。それもそうよね。二年も前のことだもの) 期待してたわけでもないし、これでいいのだと思う。 私は置き忘れた過去を拾いに来ただけ。
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