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二年五ヶ月前、祐子は中学生だった。
今思い出すと、全て子供じみて思えるが、その時はそうだった。
過去のことである。
春も終わりを告げそうな、五月下旬の暑い日だった。
祐子はあの日を生涯忘れないだろう。
祐子には、長く憧れていた人がいた。
同じクラスで野球部の楢橋(ならはし)慎也というあまり目立たない生徒だった。
それほど仲がいい方じゃないけど、たまに何かの拍子にあいさつするだけで、裕子は胸が高鳴るのを感じるのだった。
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