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頑なに拒否する私に業を煮やしたのかパパはこちらを見て小さな声で呟いた。
「ゴルゴン……」
その言葉に私の耳がピクリと反応する。
今何て言いましたお父様!
「お前が人間界でちゃんと仕事して来たらゴルゴン印の塩辛好きなだけ買ってやるから!」
どどーんと効果音が聞こえてきそうなくらいの衝撃を受けた。
ゴルゴン印の塩辛……
スッゴい食べたい!
魔界のゴルゴン三姉妹が営む塩辛屋さん。
色々な種類があるけどオクトパスの塩辛がオススメ!
でもゴルゴン姉妹の目を見た者は皆石になってしまうのでなかなか手に入れるのが難しい超レア物。
私はゴクリと生唾を呑んだ。
物で私を釣るとは何て戯け者!
食べ物なんかで……
食べ物なんかで……
「行かせて頂きます!」
気付けばそう告げていた。
塩辛により人間界に行く事を決めてしまった。
だって、だって、ゴルゴン印の塩辛だよ?
思わずよだれがでちゃうくらいのレア物だよ?
しょうがないじゃん!
「お前ならきっとそう言ってくれると思った!さぁ行こう!」
「へっ?」
ゴルゴン印の塩辛に思いを馳せていれば、パパにむんずっと首根っこを捕まれた。
「ちょ、ちょっと待って!行くってどこ……」
「人間界だよ!」
「い、今からぁ!?」
パパはにこにこ顔で突き進む。
大男のパパに捕まれ、猫の様になっている私。
パパに連れられるまま、部屋を後していた。
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