37人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋を出て、城を出て、やって来たのは魔界と人間界を繋ぐ大きな門。
依然私は捕まれたまま身動きが取れない。
「これはこれは、カオス様、それにユノ様まで。」
ここの門を守る門番がパパに挨拶をする。
抱えられた私にもね……
「ユノに社会勉強をさせる。ここを開けろ。」
「人間界に行かれるのですか?ユノ様お一人で?」
「そうだ。」
パパの言葉に門番は驚きを隠せない。
だって私人間界に行った事なんて小さい時に数回行っただけだし、その時はお供をぞろぞろと連れていたから。
「いくらユノ様でもそれは危険なので……」
門番がそう言い掛けて言葉を閉ざした。
パパが鋭い眼光で睨んだから。
これには黙らざるを得ない。
実の娘でもこの顔は正直恐い。
門番はしぶしぶと言った顔で門を開く。
開かれた先は何の光りも見えない闇。
捕まれていた私はその前に降ろされ、思わず、背中に冷や汗が流れた。
「すまんなユノ!これも家族を守る為だ!」
「はっ?」
私が振り向こうとした瞬間にドンと背中を押された。
いや、正確には思い切り足で蹴られた。
私の体はバランスを崩し、開かれた扉に吸い込まれる様に落ちる。
扉の向こうは何も見えない真っ暗な闇。
底があるのかさえ分からないが私はひたすら落ちている。
「ああぁぁぁ!こんのくそじじぃ!」
ありったけ声で叫んでやった。
叫んだ所でこの落下が止まる訳もなく、ただひたすらに暗闇を落ちて行く。
こうして物語は冒頭へと続くーーーーー。
最初のコメントを投稿しよう!