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「すまんなユノ!これも家族を守る為だ!」
「はっ?」
私が振り向こうとした瞬間にドンと背中を押された。
いや、正確には思い切り足で蹴られた。
私の体はバランスを崩し、開かれた扉に吸い込まれる様に落ちる。
扉の向こうは何も見えない真っ暗な闇。
底があるのかさえ分からないが私はひたすら落ちている。
「ああぁぁぁ!こんのくそじじぃ!」
体が急降下する中、私は怒りの余り声を荒げていた。
「行けませんぞ姫!父君に向かってその様な言葉づかいは!」
私を蹴飛ばした奴の隣からひょっこりと顔を覗かせている人物が見えた。
何故だか無性に腹が立つ。
「姫様!頑張って下さい!私はここから応援しておりますぞ!」
「何言ってるアグー。お前も行くんだ」
「え゛ぇ゛っ!?」
落ちる。
落ちるーーー。
どこまでも。
どうして私はこんな目に合っているの?
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