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優梨の家から参院までは、電車で30分ほどの距離だ。
参院には救急隊員の方から既に連絡が行っている。
あとは無事到着するのを待つのみだ。
・・・とはいえ、どうしてこんなに時間が長く感じるのだろう。
交差点を徐行しつつも通り過ぎ、無駄な時間を費やすことなく車は参院に向かっているというのに。
優梨は呼吸を荒らげながらも瞳を閉じて落ち着いている。でも青白い優梨の顔を見ていると、アタシの心は漠然とした不安に支配された。
―――このまま優梨がどうにかなってしまうのではないかって。
それは美亜も同じだった。
美「なんでこんなに時間が長く感じるの?」
俯いていた美亜がふいにそう呟いて顔をあげると、大きな溜め息をついて、また俯く。
ただ祈るような気持ちで優梨を見守る以外手立てがないことに、苛立ちを感じた様子で・・・。
優「芽衣・・・美亜・・・」
か細い声で優梨がアタシと美亜の名を呼んだ。
そうして細い手を、弱々しげに伸ばしてくる。
アタシと美亜は優梨の手を掴むと、そばに寄った。
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