プロローグ

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―――それから、アタシはまた愛にさまよった。 運命の人を求め、探して・・・。 ううん、運命なんて、本当はどうでもよくなっていたのかもしれない。 悪戯に赤い糸をたぐり寄せようとしていただけなのかもしれない。 アッくんと別れた喪失感が、アタシの心を空っぽにしてしまったから・・・。 刹那、気持ちをまぎらわすのは簡単だった。 好きでもないコータと会っていたのは、この頃だ――― 心が寂しくて、心が死んじゃいそうで、ぽっかりと空いてしまった穴を、ただただ埋めて欲しかったんだ。今ひとときが楽しければそれでいい・・・そう思っていたんだ。 コータはいい加減な男だったけど、一緒にいると楽しかった。 コータやコータの仲間たちと、だらだらと時間を過ごし、バカやって・・・。人生なんてこんなものだ・・・って、大人のふりをしていたのかもしれないね。 あとに残るのは虚しさだけなのに・・・。 そんな偽りの感情で日々をやり過ごし、周りの人間も傷つけた。 恨みを買って、学校を巻き込んでの騒動も起こった。 今考えると、すべてはアタシが愛にさまよっていたせいだと思う。 ―――すごく後悔している。
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