23人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ん?」
なんだかすごい視線を感じる。恐る恐る顔を上げて視線の先を見ると、無表情の男の人がこちらをみていた。
な、なんだろう。
「えっと…沖田さん」
「はい?」
「あの人…凝視してくるんですけど…」
「え? …ああ、一くんですよ」
えっと…一さん…。
あっ…和香が一番好きな人か!斎藤一さんだったかな。
「どうして、わたしをあんなに見てくるんですかね」
「さあ、一くんの考えることはよく分かりません。彼は不思議くんです、不思議くん」
「…沖田」
「一くん」
「変なことを言うな」
「そして照れ屋さんなんですよ」
「沖田…!」
あはは!と沖田さんが笑った。斎藤さんは、無表情ながらに口元をヒクヒクさせている。
沖田さんは、誰を相手にしてもこんな感じなのか。斎藤さんはとくに沖田さんに絡まれていそうだし、大変だな。からかいやすそうだし。
「新しい女中、か」
「はい、桜木 凛華です」
「…俺は、斎藤一だ。…よろしく」
よろしくお願いします。と返事をして、またご飯を口に含んだ。
そういえば、あの時斎藤さん居なかったなぁ。なんでだろう。
「一くんは、今日は非番だから外に遊びに行ってたんですよ」
「俺はお前とは違う」
「えー?じゃあどこに行ってたんですか」
「ぐっ…だ、団子屋だ」
「ほら、ね?」
ニヤニヤと楽しそうにする沖田さんに、斎藤さんががっくりとうなだれた。意外。勝てないんだ。かわしちゃいそうなのに。
「…土産やらんぞ」
「わあああごめんなさいごめんなさい!!斎藤さま相変わらず素敵でございます」
すごい手のひらの返しようだな。沖田さんは甘いものが好きみたいだ。
最初のコメントを投稿しよう!