初仕事

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「…ん?」  なんだかすごい視線を感じる。恐る恐る顔を上げて視線の先を見ると、無表情の男の人がこちらをみていた。  な、なんだろう。 「えっと…沖田さん」 「はい?」 「あの人…凝視してくるんですけど…」 「え? …ああ、一くんですよ」  えっと…一さん…。  あっ…和香が一番好きな人か!斎藤一さんだったかな。 「どうして、わたしをあんなに見てくるんですかね」 「さあ、一くんの考えることはよく分かりません。彼は不思議くんです、不思議くん」 「…沖田」 「一くん」 「変なことを言うな」 「そして照れ屋さんなんですよ」 「沖田…!」  あはは!と沖田さんが笑った。斎藤さんは、無表情ながらに口元をヒクヒクさせている。  沖田さんは、誰を相手にしてもこんな感じなのか。斎藤さんはとくに沖田さんに絡まれていそうだし、大変だな。からかいやすそうだし。 「新しい女中、か」 「はい、桜木 凛華です」 「…俺は、斎藤一だ。…よろしく」  よろしくお願いします。と返事をして、またご飯を口に含んだ。  そういえば、あの時斎藤さん居なかったなぁ。なんでだろう。 「一くんは、今日は非番だから外に遊びに行ってたんですよ」 「俺はお前とは違う」 「えー?じゃあどこに行ってたんですか」 「ぐっ…だ、団子屋だ」 「ほら、ね?」  ニヤニヤと楽しそうにする沖田さんに、斎藤さんががっくりとうなだれた。意外。勝てないんだ。かわしちゃいそうなのに。 「…土産やらんぞ」 「わあああごめんなさいごめんなさい!!斎藤さま相変わらず素敵でございます」  すごい手のひらの返しようだな。沖田さんは甘いものが好きみたいだ。  
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