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「…当たり前だろ?花街に行くんだよ」
ため息まじりに言う原田さんに、固まった。
「左之さん!」
先ほどよりも幾分か厳しさの増した声で叫んで、藤堂くんが原田さんを睨んだ。
え、花街って。
サアーッと血の気が引く。
和香の声がぐるぐると脳内を巡る。
「あのね、昔は花街っていうのがあって、ええっと、簡単に言うと女の人たちが春を売る店が並んでいるところだよ」
ひいいいっと内心は大絶叫だった。
そんな、そんな!
通り魔に刺されてタイムスリップした挙げ句味方は誰もいないし男の人(かの有名な新選組!)に囲まれるしで、さらには体まで…!
「しかしなあ…」
近藤さんが、腕を組みながらちらりと土方さんを見た。
「…まさか、まさかだとは思うが、…」
少し迷ったように視線を畳に向けてから、土方さんは近藤さんを見た。
「…うちで面倒見るとか、…言わねぇよな?」
「駄目か…?」
「あのなあ、」
「いいじゃないですか、拾ったものは最後まで面倒見ないと」
沖田さんがにこにこと笑いながら土方さんの肩をぽんぽんと叩いた。
「…」
土方さんが疲れきった顔でわたしを見た。
どう反応すればいいんだろう…。止めてほしいのかな。わたしとしては是非面倒を見ていただきたいんですけど。
「よろしければ…」
お世話になります。そう頭を下げると、土方さんの深い深いため息が聞こえた。
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