9人が本棚に入れています
本棚に追加
ベチョリ
ほぼ背後までペトペトさんが近付いてきた
と、前を走る田貫のオッサンが転ぶ
転んだオッサンに躓いて後輩が。その後輩に裾を掴まれて俺も転ぶ
「ひょえ~!」
間抜けな声を上げて、オッサンと犬が狸に変わって、俺たちから逃れて何処かへ消えていった
待て!俺たちはどうなる!
「あれ?先輩。廊下終わってますよ?」
狸が逃げ出した後は、廊下どころか学校すら消えていた
「ふん。他愛ない。これだから狸は好かんのだ。さぁ。馬鹿馬鹿しい狸の余興は終わりだ。私が責任を持ってホラー案内をしてやろう」
隣にまだ残っていたペトペトさんが、不気味な格好のままお稲荷さんの狐と同じ顔で笑った
「願ったろう?」
俺たちは脱兎の如く逃げ出した
夜なお明るいファミレスに飛び込んで、ビールを煽る
「先輩。これ。ネタになりますかねぇ」
「心霊特集で狐と狸に化かされた話を書くのか?」
どんな怖い目にあったところでファンタジーにしかならねぇだろ
ビールをもう一杯頼む
もう二度と心霊特集の仕事は受けねぇからな!
最初のコメントを投稿しよう!