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「ではまず、第一の不思議」
田貫のオッサンは校舎手前の桜の木の前で止まる
「血染めの桜」
お。何だか怖そうじゃねぇか
「昔、この桜の前で刺されて殺された人がおったんやったか、首を切って自殺した人がおったんやったか」
どっちだ
「まあ、そんな感じでこの桜。毎年一晩だけ血に染まったような真っ赤な花をつけるんですわ」
で?
俺と後輩は青々と立派な葉っぱのついた桜の木を見上げる
「あ~。まあ、今は夏やから、ただの桜に見えますなぁ」
……これ。どうすりゃ良いんだ?
来歴もいい加減。季節は違うって……
「ちなみに、幽霊のオプションは、ここにはあらへんのですわ」
オプ……ション
「そう思って桜を見ると怖く感じますねぇ。先輩?」
これを文字に起こして怖がってくれる奴がいると思えねぇ……
「何でしたら、春には血染め桜お花見ツアーもやってまっせ?真っ赤な桜の下で飲むお酒はまた格別と、かなり人気のツアーやけど、申し込みしときますか?」
怖くねぇ。怖くねぇんだよ。オッサン
「まずは目の前の仕事から片付けてくれねぇかな?」
泣くぞ?
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