プロローグ

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藤助が椿姫を拾った日から、14年の月日が流れた。 椿姫はあの後長の養女として引き取られ、大切に育てられた。 おそのさんの見立ては正しかった。 椿姫は成長するにつれて美しくなり、今では里一番の美少女だ(残念ながら、本人に自覚無し)。 そして同時に、藤助を除けば里一番の剣士になった。 当初、里の男達や藤助が護身用に教えたのだが、ここで椿姫の才能が、一気に開花した。 椿姫は教わったことを、土が水を吸うように、あっという間に吸収し、剣の技術を身に付けた。更に自らやり易い技術を思考し、独自の剣術も身に付けてしまう。 おまけに、椿姫は二つの属性を持つ、バサラ者だった。 様々な要素が絡み合い、最早天賦のと呼べるほどの才能を開花させた椿姫に、今や里の中で勝てるのは藤助のみだった。 こうして椿姫は里一番の有名者になり、いつしか里の者は、椿姫のことを『光陰姫』と呼ぶようになった。
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