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「響先輩、おバカで天然だし。絶対バレませんよ」
色っぽく微笑み、首に手を回される。
──瞬間。
自分の中で何かが弾け飛んだ気がした。
黒瀬を壁際に追いやり、バンッと壁に手をつく。
「桜井さ……!?」
「わりーけど俺、響しか無理。んで、あいつのことバカっつっていーのは俺だけだし」
別に、俺のことを何と言われようがどうでもいい。
でも、他人の口から響のことを悪く言われんのは我慢ならねぇ。
「スミマセン、俺……そんなつもりじゃ、」
「たとえバレなかったとしても、浮気するつもりは更々ねぇから」
正直……響を失ったりしたら、立ち直れる気がしない。
気が付いた時にはどうしようもなく惚れてて、それでもあいつのために諦めようとした。
毎日募ってく想いを抑えて生活すんのはキツかったし、中学生になってあいつに初めて彼女が出来た時も、初体験を済ませたと嬉しそうに笑ってた時も、予想以上に堪えたけど。
それでも響を失いたくない一心で耐えてきた。
あいつの未来のために。
どんな関係であれ、あいつの側にいたい自分のためにも。
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