11th story【その男、溺愛中】

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「響先輩、おバカで天然だし。絶対バレませんよ」 色っぽく微笑み、首に手を回される。 ──瞬間。 自分の中で何かが弾け飛んだ気がした。 黒瀬を壁際に追いやり、バンッと壁に手をつく。 「桜井さ……!?」 「わりーけど俺、響しか無理。んで、あいつのことバカっつっていーのは俺だけだし」 別に、俺のことを何と言われようがどうでもいい。 でも、他人の口から響のことを悪く言われんのは我慢ならねぇ。 「スミマセン、俺……そんなつもりじゃ、」 「たとえバレなかったとしても、浮気するつもりは更々ねぇから」 正直……響を失ったりしたら、立ち直れる気がしない。 気が付いた時にはどうしようもなく惚れてて、それでもあいつのために諦めようとした。 毎日募ってく想いを抑えて生活すんのはキツかったし、中学生になってあいつに初めて彼女が出来た時も、初体験を済ませたと嬉しそうに笑ってた時も、予想以上に堪えたけど。 それでも響を失いたくない一心で耐えてきた。 あいつの未来のために。 どんな関係であれ、あいつの側にいたい自分のためにも。
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