10th story【その男、ドSにつき】

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「……お前、これどうした?」 「へ?」 ある週末の夜。 立夏の部屋に遊びに来ていた俺。 ベッドの上で雑誌を読んでゴロゴロしてたら、急に立夏が覆いかぶさってきた。 立夏の視線の先は、俺の首筋。 (首、筋……?) 「げっ!忘れてた!」 ふと昨日あった出来事を思い出し、咄嗟に首を押さえた。 大学のサークルの飲み会で、酔っ払った後輩に不意打ちで付けられたキスマーク。 全くもってやましいことはない。同席していたヤツがキス魔で、単にふざけてただけ。 なのに…… やべ、 この焦り方は怪しい。 何もなかったのに、我ながら怪しいぞ俺! 「へぇ……」 案の定、立夏の目がすぅっと細まり、冷たい空気が肌を刺す。 誤解されたくねぇし、立夏には言わないでおこうと思ってた。 けど首筋にくっきり付いたソレを隠すことをすっかり忘れてた。 挙げ句、テンパりすぎて怪しさMax! 咄嗟に口から出た一言も余計だった。 バカすぎんだろ、俺……。
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