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「何を忘れてたって?」
「え、と……」
立夏にバレたら嫌だから隠蔽すんのを忘れてました、なんてぜってーーー言えん!
「俺に事情を話すのを忘れてたんだよな?」
「あ、ハイ」
立夏の有無を言わせない口振りに、ついこっくり頷いてしまう。
久々に立夏が怒ってんの見た。
纏う雰囲気が冷ややかでまじ焦る。寒い。コエー!
「じゃ、そのやらしーキスマークが付いた経緯を聞かせてもらおうか」
ベッドに腰掛けて脚組んでる立夏とは対照的に、俺ときたらベッドの上にちょこんと正座。
別に要求された訳じゃねぇけど、自然にこうなった。
だって立夏コエーんだもんよ!
こんなことなら、最初に素直に謝っておくべきだった!俺のバカ!間抜けー!
「昨日サークルの飲み会に行きまして」
……なぜ敬語。
もういーや、このままで。
「酔ったらキス魔になる奴に、一瞬の隙をついてやられました」
「へぇ」
あああ目を細めんなコワいからっ!
「でも!そいつ男女関係なくキスして回るし、全くもってやましいことはありませぬ!」
「ありませぬ、ってお前……」
テンパりすぎて語尾が昔の人風になってしまった。
立夏がぷっと吹き出して、ちょっとだけ雰囲気が柔らかくなった……気がする。
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