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「お前って、意外と嫉妬深いのな」
「あ?何だよそれ」
「あんな見えるとこにキスマークとか……中学生かよテメーは」
リビングへ戻ろうとすると、珍しく立夏がハル兄と輝にイジられていた。
内容が内容だし、戻りづらい……。
気付かれる前に再び洗面所にUターンし、聞き耳を立ててみる。
立夏がイジられてるのなんてレアだし、ちょっと興味深かったり。
「お前、響のこととなるとアツくなるよなー。溺愛しすぎだろ」
「いやそれ、兄貴にだけには言われたくねぇわ」
溺愛……。
されてるのか俺?
確かに、いつもクールな立夏が子供みたいにキスマークの上書きをしてくるなんて……
嫉妬ゆえに、なのか?
思ってる以上に、俺って愛されてるのかもしれない。
なーんて考えが頭に浮かんで、口元が勝手に緩んだ。
恥ずかしすぎると思っていた沢山のキスマークが急に愛しく思えてきて不思議。
「おい、いつまでそこにいんだ。朝飯できたぞ」
「……はっ!」
にんまりしながら鏡と向かい合っているうちに、いつの間にか時が経っていたらしい。
「……なんで鏡見て一人で笑ってんの。コエーよ」
洗面所に迎えにきた立夏がボーッとしている俺を見て顔をしかめた。
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