11th story【その男、溺愛中】

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──正直に言うと、響と付き合うまでにこっそり女と付き合ったことが何度かあったりする。 その理由は欲求の処理のためだったり、何となくだったり、様々だったけれど。 美人だろうがスタイル抜群だろうが、響じゃないなら別に誰でも一緒だった。 その時は浮気されようが何の感情も湧いてはこなかったし、自分にそんな感情が存在することすら知らなかった。 だが…… 響の身体にキスマークを発見した時、苛烈な怒りが込み上げてきて焦った。 響に残った他人の痕跡を消したくて、上書きするみたいに何度も響を肌を朱く染めた。 ──諸悪の根源は、大学の後輩である黒瀬隼汰。 黒瀬の奴は、いつだって俺と響の間に割って入ってきては、仲を邪魔するみたいにモデルの勧誘話を吹っ掛けてくる。 めんどくせぇ奴だけど、悪い奴じゃないのはわかる。むしろ、悪意なんか生まれてこのかた持ったこともなさそうな呑気な顔してやがる。 とはいえ、あんな目立つ場所にわざわざキスマークなんて付けやがって。 いくらキス魔でも、思いっきり吸わなきゃあんなに赤くなるわきゃねーし。 爽やかなツラして意外に大胆な事するのな。 くそ……ムカつく。 あいつ、近々絶対泣かす。 ──そう決めて3日後。 思わぬ場所で敵に出くわした。
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