11th story【その男、溺愛中】

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「桜井さん、好きです」 「……は?」 文句を言おうとして口を開きかけたものの、予想外の黒瀬の言葉に絶句。 がっちり腰を掴まれ、今にも再度触れてきそうな唇に戸惑った。 「初めて見た時から好きでした。響先輩と付き合ってるのは知ってます。でも、出来たら俺のことも見て欲しいっす」 真っ直ぐに俺を見上げる澄んだ瞳。 一瞬陥れるつもりなのかと勘繰ったけれど、こいつの目を見れば本気なんだと伝わってくる。 「ちなみに、キスマークを付けたのは桜井さんを呼び出して告白するきっかけを作りたかったからですよ」 「……そうか」 手先は不器用でも頭は悪くはないらしい。 響が俺にキスマークを隠し通せないことも、知ったからには黙ってはいられない俺の性格も、全てお見通しで計算されてたワケだ。 挙げ句、超肉食系。 腰を撫で回す手が鬱陶しい。 「別に、身体だけの関係でもいいっす。桜井さんの望むこと、何でもします。俺、響先輩には黙ってますから」 「あ?」 一瞬聞き間違いかと思うような、過激なセリフ。 匂いたつ色気はさすがのもんだ。
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