11th story【その男、溺愛中】

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「桜井さん……俺、まじで好きなんす。たまんねぇっす」 抱き締められ、いたるところに伸びてくる手。 熱い吐息に張り詰めた黒瀬自身。確かに響と出会っていなければ理性がぐらついていたかもしれない。そう思えるぐらいに今の黒瀬は艶っぽい。 慣れた手つきで撫で回されること約30分…… 「俺の……負けっす」 「ん。残念だったな」 疲弊した顔の黒瀬がガックリと床に崩れ落ちた。 「桜井さん……不感症?」 「人聞きの悪いことを言うな。違げーよ」 響に片想いしていた時期が長かったせいか、他の奴にはなかなか反応しない身体になってしまった。 まぁ、響がいる限り不自由はないからいいけど。 「例えば昨晩の響を回想するとだな……ほら、」 「うわっ!?まじすか!一瞬で元気じゃないすか!」 「……さすがに一瞬すぎて我ながら引いたわ今、」 「さすがにこんなの見せられちゃ、諦めざるをえないっすね。俺がどんなに頑張っても、回想の響先輩にすら勝てないなんて」 項垂れる黒瀬。 ちょっと可哀想なことをしたかもしれない。
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