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「……」
「……」
くそ、どんだけ響のことしか頭にねぇんだ俺は。
「……わり、あと数分ここにいていいか?」
「どうぞ。てか、俺がちょっかいかけたら萎えるんじゃないすか?」
言って黒瀬に抱き締められるとあら不思議。
「まじだ……」
一瞬で収まる熱に、自分でもびっくり。
「いやなんかさすがにショックっす。早く帰って下さいよもー!」
「悪い悪い!レシピ、ありがとな」
うんざりした顔の黒瀬に手を振って、マンションを後にした。
帰り道、ポケットから携帯を取り出して、響に掛けてみる。
「もしもしダーリン♪」
二回コール音がしたところで、やたらと明るい声が耳に飛び込んでくる。
ダーリンとか平気で言ってるとこからすると、すでに家でくつろいでいるらしい。
「今日インド人直伝の新作カレー作んだけどお前んち持って行っていい?それか兄貴今日帰ってこねぇし泊まりにくるか?」
「ぇ!新作のカレー!?ちょっと待って、」
受話器ごしに響が「母さーん!立夏が新作のカレー作るって!インド人直伝のやつ!」とか大声で言ってんのが聞こえてくる。
超嬉しそうだし。
微笑ましい。
んっとに可愛いわこいつ。
「母さんが、作り方教えて欲しいからうちのキッチンまで作りに来てってさ!あとご近所さんにメロン貰ったから一緒に食おうって」
しばらくして、響が嬉しそうに報告してくる。
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