11th story【その男、溺愛中】

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「……」 「……」 くそ、どんだけ響のことしか頭にねぇんだ俺は。 「……わり、あと数分ここにいていいか?」 「どうぞ。てか、俺がちょっかいかけたら萎えるんじゃないすか?」 言って黒瀬に抱き締められるとあら不思議。 「まじだ……」 一瞬で収まる熱に、自分でもびっくり。 「いやなんかさすがにショックっす。早く帰って下さいよもー!」 「悪い悪い!レシピ、ありがとな」 うんざりした顔の黒瀬に手を振って、マンションを後にした。 帰り道、ポケットから携帯を取り出して、響に掛けてみる。 「もしもしダーリン♪」 二回コール音がしたところで、やたらと明るい声が耳に飛び込んでくる。 ダーリンとか平気で言ってるとこからすると、すでに家でくつろいでいるらしい。 「今日インド人直伝の新作カレー作んだけどお前んち持って行っていい?それか兄貴今日帰ってこねぇし泊まりにくるか?」 「ぇ!新作のカレー!?ちょっと待って、」 受話器ごしに響が「母さーん!立夏が新作のカレー作るって!インド人直伝のやつ!」とか大声で言ってんのが聞こえてくる。 超嬉しそうだし。 微笑ましい。 んっとに可愛いわこいつ。 「母さんが、作り方教えて欲しいからうちのキッチンまで作りに来てってさ!あとご近所さんにメロン貰ったから一緒に食おうって」 しばらくして、響が嬉しそうに報告してくる。
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