6877人が本棚に入れています
本棚に追加
昔っから響の両親は俺に良くしてくれて、一緒に夕食を取ることも多々ある。
堂々と家族ぐるみの付き合いをしてるなんて、幼なじみの特権だな。これって。
「よし、決まりだな。じゃあ買い物したら直接お前んち向かうわ」
「んで、ハル兄が帰ってこないんなら、その後は泊まりにいく!一緒に風呂はいろーぜ!」
「ぇ、」
なんでいきなり風呂の話に。
「お前に付けられたアレ、まだ消えねぇんだよな。けど、なんか立夏のモノだって実感できるから嬉しい。なんならもっと付ける?見えねーとこなら平気だし」
「……!」
こいつまじで可愛いんですけどどうしよう。
元々素質はあったにしろ、最近ますますドMと化しているのは俺のせいなのか?
知らねぇ。
可愛いからいい。
頭の中に浮かんできたのは、あいつの身体に無数に咲いた赤い花と、ついでにイロイロ……
「あ、やべ、」
往来の真ん中で前屈みになる羽目に。
(……俺ってこんなキャラだっけ?ダッセェ……)
「立夏?なんで黙ってんだ?」
「おー。ちょっとクールダウン中、」
「はァ?意味わかんね」
不審がる響。
こんなとこをもし黒瀬が見ていたら百年の恋も冷めると思う。
いや、さっきのでとっくに冷められただろうな。
──何はともあれ、俺はやっぱり響を溺愛しているらしい。
今夜は、あいつの好きなカレーをたらふく食わせてやろう。
俺の居場所は、いつだってあいつの隣。
今日も、これからも。
【つづく】
最初のコメントを投稿しよう!