11th story【その男、溺愛中】

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昔っから響の両親は俺に良くしてくれて、一緒に夕食を取ることも多々ある。 堂々と家族ぐるみの付き合いをしてるなんて、幼なじみの特権だな。これって。 「よし、決まりだな。じゃあ買い物したら直接お前んち向かうわ」 「んで、ハル兄が帰ってこないんなら、その後は泊まりにいく!一緒に風呂はいろーぜ!」 「ぇ、」 なんでいきなり風呂の話に。 「お前に付けられたアレ、まだ消えねぇんだよな。けど、なんか立夏のモノだって実感できるから嬉しい。なんならもっと付ける?見えねーとこなら平気だし」 「……!」 こいつまじで可愛いんですけどどうしよう。 元々素質はあったにしろ、最近ますますドMと化しているのは俺のせいなのか? 知らねぇ。 可愛いからいい。 頭の中に浮かんできたのは、あいつの身体に無数に咲いた赤い花と、ついでにイロイロ…… 「あ、やべ、」 往来の真ん中で前屈みになる羽目に。 (……俺ってこんなキャラだっけ?ダッセェ……) 「立夏?なんで黙ってんだ?」 「おー。ちょっとクールダウン中、」 「はァ?意味わかんね」 不審がる響。 こんなとこをもし黒瀬が見ていたら百年の恋も冷めると思う。 いや、さっきのでとっくに冷められただろうな。 ──何はともあれ、俺はやっぱり響を溺愛しているらしい。 今夜は、あいつの好きなカレーをたらふく食わせてやろう。 俺の居場所は、いつだってあいつの隣。 今日も、これからも。 【つづく】
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