1.企み

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「何言ってんだ俺は…」 続いて聞こえた呟きに彼を見たら、グラスに残っていたビールを一気に飲んで息をついていた。 その様子に良い人だと感じ心動かされてつい、言ってしまった。 「名雲君なら、いいよ…」 驚いてから嬉しそうに笑う彼に、 今日お持ち帰りされてしまう。 と思ったけど、ケイタイを取り出してメアドを聞かれる。 「さすがに知り合ってすぐ誘えないよ。」 戸惑う私の心を見透かしたようにそう話す彼に、苦笑する。 「お互いよく知ってから、ね。」 「ありがとう。」 誠実そうな人… さっきまでの嫌な気分も薄れていくのを感じた。 ケイタイをしまいながら、恭介がニヤリとしていたのは気付かずに‥
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