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「わーっ!急がなきゃ!」
キーン コーン カーン コーン…
放課後を知らせるチャイム。
奈央子(なおこ)は慌ただしい様子で、ノートや教科書を、机の上の黒革のカバンに、手当たり次第に詰め込んでいた。
その様子を、隣の席の美少女が、机に肘をついて見守っていた。
「そっかー、いよいよ今日よね?『例の極秘の呼び出し』ってやつ」
「うん。すっかり忘れてたよー。宿題の続きなんて やってる場合じゃ無かった。今日の掃除当番 変わってくれてありがとね、あかねちゃん」
「別に良いわよ。この二学期から新しく来たテニス部の顧問の先生って、最初のミーティングに間に合えば、自主トレは遅れても怒られないのよね。だからどうせ時間あるし」
あかねと呼ばれる彼女は、ボブで明るい色のストレートヘアを触りながら、奈央子の慌ただしい様子を見守っていた。
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