第1章:はじまり

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視界に入って来たのは、一人の少年。 わ、かっこいい人… と奈央子は一瞬、そのぶつかった彼に魅入ってしまった。どおやら出入口の右横から、この校舎に入って来るところだったらしい。ほぼ正面衝突だった。 「わわ!もう本当に遅刻だ!それじゃ失礼しますねっ」 奈央子は そう叫びながら、少年が反応する間もなく、嵐のように全速力で走り去って行った。 * * * そして、地図に記されていた、それらしき部屋に たどり着いた。 入学案内のパンフレットでも、こんな部屋が書かれていた記憶は ない。オープンキャンパスの校内案内とかでも、来た記憶は ない。 もしかすると、単に、案内する必要が無かったような場所なのかもしれないが。 奈央子は「失礼しまーす」と言って、ガラッとドアを開けた。 すると 「あら、遅かったわね。貴女が、太田 奈央子さんかしら?」
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