筆頭シェールの切り札

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  ファイヤンス 「いやぁ、今日も 逃げたなぁ」 大笑いをしながら 飛んでもない事を サラリと口にするのは この城の城主で、 火炎属性の王である 火王ファイヤンス。 脱走癖を持ち、 シェールから逃れるのを 日課と趣味にしているが 一応、これでも、 そう見えないかも知れないが 想い交わしている相手だ。 ファイヤンス 「ナレーション。 うるせーぞ」 ナレーションへの 突込みを入れる暇があるなら 話を先に進めるのだ。 三席 「ファイヤンス様? 何をおっしゃっているので」 気付いているはずだが、 気付かぬフリをして 話を軌道に戻すのは ファイヤンスよりも 体付きの良い、 所謂、ガテン系の外見を持つ 第三席。 名前はあるだろうが 本編に出ていないので そのまま席次で進める。 四席 「どうせ端役だよ……」 落ち込んだように呟くのは 第四席。 本編でも大して 活躍していない、端役の端役 五席 「あんまり言うと 泣き出すって」 既にウル目になっている 四席の肩を叩くのは 名前こそ出ていないが 本編でそこそこの役を 貰っている第五席。 炎籃 「どうでもいいから 話を進めないと いけないのではないか?」 うんざり、といった表情で 話を進めろとせっつくのは 物取りでありながら ファイヤンスに命乞いをした 変わり身早い男、炎籃。 物取りの癖に、 上位衆よりも先に 名前を出してもらっている 待遇良い役所だ。 三席 「俺達、筆頭に ヤられまくりなのに なんで物取りばっかり……」 下唇を出して拗ねる三席。 しかし、ガテン系外見では 可愛くも無い。 しかも『ヤ』られまくりと 『ヤ』がカタカナだが、 怪しい事を している訳ではない。 四席 「やっぱり、俺達 捨て駒系、 筆頭の玩具かよぉ」 五席に宥められていたが、 とうとう泣き出す四席。 力だけで上位にいる割には 精神的に打たれ弱いようだ。 五席 「筆頭の玩具って…… いや、う~ん。 ファイヤンス様、何とか 言ってくれないっスか?」 ファイヤンス 「何とか」 炎籃 「アンタはいつの時代の 小学生だ……」 どこまでも悪乗りをする 四人を放って さっさと裏庭に進む炎籃。 とりあえず、 なんだかんだと騒ぎながら 彼らは裏庭へと辿り着いた。
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