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いきなり増えた人の気配
そして、その相手が出す
火炎城の中に居ながら
氷穴の中に放り込まれた様な
凍りついた空気に
恐る恐る振り返る四人。
ファイヤンス
「や、や~ぁ。
どしたの?」
明るく、さりげなく
フランクに
と振舞ったつもりだろうが
既に頬が引き攣っている
火炎城、城主ファイヤンス。
しかし、相手は
可憐なその笑顔の表情の裏に
怒りを見え隠れさせながら
それでも、まだ、穏やかに
シェール
「そこのクズ三人。
僕の許しなく
動いて良いと思うか?」
城主であり
己が主でもある
ファイヤンスを囮に
コッソリと
逃げようとしていた
上位衆三人に向けて
美少女と間違われる
その可憐なマスクに
背筋が凍る程の
輝かしい笑みを
浮かべていた。
横目だけではあるが
シェールのその表情を見て
ここで逃げたら
それこそ殺されると、
直感的に理解して
大人しく元の位置に戻る。
炎籃
(筆頭シェールには
ナレーションが
聞こえないのか……?)
それは突っ込まない
お約束である。
炎籃
(……どういう約束だ)
どこかお堅い炎籃の
心の呟きはさておき
筆頭シェールの
怒りの圧力はあっという間に
辺り一面を覆いつくし、
平和な筈の裏庭には
戦闘時と同じような
鋭い気配が満ちていた。
シェール
「何をなさっていたので?」
ファイヤンス
「いやぁ、茶ぁでも
飲みながら仕事でも、と」
頷け、とばかりに三人に
合図を送るファイヤンス。
それに気付いた上位衆は
ロックバンドの
コンサートでやる勢いで
首を縦に振っていた。
シェール
「ほ~ぅ?
書類も持たずに?」
シェールの周りの空気が
一気に温度を下げる。
炎籃
(……何だか嫌な予感が)
危機感知能力は高いのか
危険を察知しているが、
シェールの威圧感に飲まれて
動く事も出来ない炎籃。
惨劇の幕が
今
上がる……
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