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(くそっ!郁斗の野郎.....)
心の中で野次を飛ばし、ドアノブを乱暴にガチャガチャと回す。
(あれっ? 空いてんじゃんか...)
ドアノブを回し、ゆっくりと手前に引き寄せると『ギッ......キィーー...』と錆び付いた不快感な音が静寂な空気の中響きわたった。
それと同時に空気が圧迫されたのか、室内から溜まっていた生温い風が冷えきった顔にかかる。
「うっ.......くっせぇ..........」
タバコのヤニの臭いに混じり、生ゴミのような腐敗臭が鼻を刺激する。
換気でもさせないと颯太なんてこんなゴミ集積所もどきな場所に入れないじゃないか!
意を決し、ドアを全開まで勢い良く開けきり室内に目を向ける。
暗がりの中、キッチンの奥に閉まっている磨りガラス。
その磨りガラスが外から見た時のカーテンの様に光りがやんわりと動いている。
音は全くの無音.....。
鼻を慣らそうにもあまりにも刺激臭な為、てっとり早く換気したい。
鼻を服の裾で覆い、乱雑に靴を脱ぎ捨て、磨りガラスに近づいた際キッチンに目を向けるが何も物が無い。
(んっ?臭いの元は何なんだ?)
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