混沌の序章

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「いってきます」 妻と3歳になる1人息子に見送られ出勤する。 春の全盛期も終わりに近づき、朝の陽射しがポカポカする5月の朝。 玄関のドアを妻と息子に体を向けたまま笑顔で手を振り、そっと閉める。 ドアが閉まりきるまで一生懸命手を振り続ける息子を見て、また自然と笑顔で満たされる。 鼻に吸い込まれる暖かな空気を感じ、今度は胸を張り口一杯に吸い込む。 そんな健やかな朝も、今の俺には少しも楽しみ、軽快な足取りになる気持ちにはなれない。 俺の家族はこの2人しかいない.....。そんな気持ちが今も心の中を支配し続けるからだ...。
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