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無表情のまま、一呼吸置いた間を作り、ゆっくりと陽向は喋り出した。
「隊長。私はあなたが分かりません。どこで、どんな人だったのか知らないのです。隊長とは認めることができても、信用できるかは……正直、自信がないのです」
陽向の言葉に、飛燕は納得した。
飛燕は、飛燕という存在が得体の知れない人間であることを、今になって理解したのだ。
彼女はその得体の知れない隊長を信用できかねると言う。それは不思議なことではない。誰でも、正体が不明な人間を信用することは容易ではないのだ。
飛燕は少し考えてから、顔を上げて陽向と向き合う。これから肩を並べる戦友に、彼は一つだけ誓えることがあった。
「俺はお前達を信じるし頼りにしている」
これが彼の答えだった。
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