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次に気が付くと、僕は工場で熔接をしていた。
油臭いツナギに身を包んで、格好悪いマスクを着けて、首だけ真っ赤に焼けていた。
寮暮らしで、三食付き。
お給料は物足りないなんてもんじゃなかったけれど、それでもエリートビジネスマンにはないものがあった。
声の大きい班長、すぐにさぼりたがる同僚、やたらと先輩風を吹かせる同い年の先輩。
あったかい人間関係があった。
寮に戻る前、コンビニで第三のビールとバタピーを買い、公園で色んな話をした。
先輩が女の子を紹介してやる、なんて言ってくれたので喜んでいると、班長が、
「こいつの女友達はブスばっかりだぞ」と言った。
そんな風に言いながら班長は、その女友達と何度か付き合ったりしたらしい。
僕はそれを聞いて笑った。
毎日変わらないけれど、平穏で平凡な幸せがそこにはあった。
こんな将来なんて虫酸が走るな、と。
僕は思った。
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