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咲は最近のトレンドや噂話に敏感な情報屋で、いつも手に入れたネタを僕達に披露してくれるんです。
「ああ、毛深いのは初耳だが。昨日、いや一昨日か。校舎裏で渡辺が姫に告白していたらしい」
へぇ。
へ?
「えぇっ!?」
普段から声が大きい優作も加わって、僕達の驚きは教室5こ分は軽くある学食に響いた。
でもこれはオーバーリアクションって訳じゃないんです。確かに容姿はかわいい方に入るかもしれないけど、彼女は言わずと知れた『女ヒトラー』の異名を取る独裁女帝。彼女には完全に向かないと思うんだけど……。
「あの野郎、珍獣ハンターだったんか」
いや、せめて人間にしてあげようよ。
「ああ、それを聞いた時は俺も思った」
咲まで……。
「で、稀乃は何て?」
呆れ半分で僕は咲に尋ねた。というのも、あの稀乃が彼氏なんか作る訳がない。
「もちろん断ったさ。でもその時言った言葉がまた秀逸でさ。『何その腕毛。あんた日系インド人だったっけ?』だと」
くすくすと笑い出す咲の背後を、黒いオーラを纏った腕が毛深いゴリマッチョながたいの少年がさーっと通り抜けて行った。
多分聞いてたんだろうな……。
「咲、死なないでよ」
今夜辺りが山場かな。
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